とある科学の備忘録

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CやPythonのプログラミング、Arduino等を使った電子工作をメインに書いています。また、木製CNCやドローンの自作製作記も更新中です。たまに機械学習とかもやってます。

【化学】熱化学NO.1 化学反応による熱の種類

化学変化には、必ず熱の出入りが伴います。

例えば、炭素が完全燃焼すると、次のような反応が起こります。
C+O_{2}\rightarrow CO_{2}
この時、Cが1mol燃焼すると、約349kJの熱が発生します。

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このように、どのような反応が起これば、どれだけの熱量が発生(吸収)するのかを考えていくのが熱化学の目的です。

因みに、なぜ熱が発生するのかというと、反応の前後で、物質の持つエネルギーの和が異なるからです。例えば、上の炭素の例では、349kJの熱を大気中に放出している、ということは、反応によって物質の持つエネルギーが349kJ減少した、ということです。

また、熱が発生する化学反応を発熱反応、熱を吸収する化学反応を吸熱反応と言います。

1.反応熱の種類

化学反応によって発生・吸収される熱のうち、いくつかには名前が付けられています。

それらは、以下の4つです!

ここで、一つ注意点ですが、今から紹介する熱は全て、基準となる物質1molを反応させたときの熱量(kJ)です。なので、物質2molの反応熱が知りたければ与えられた値を2倍しなければいけません。この点に注意すれば、特に問題はありません。

「どの物質が1molなのか?、何を基準とすればいいのか?」については、問題文で明記されているはずなのでご安心ください。「...炭素の燃焼熱を394kJとします。」のように書かれています。もしそう書かれていたら「ああ、炭素1molを燃やしたら394kJの熱が発生するんだな」と考えてください。



・燃焼熱
・生成熱
・中和熱
・溶解熱

生成熱から順番に見ていきます。

 

生成熱

生成熱とは、物質(1mol)が単体から作られるときに発生または吸収する熱です。

例えば、塩化銅(Ⅱ)1mol を作るには、銅(Ⅱ)と塩素が1molずつ必要になります。そして、このような反応が起こります。
Cu+Cl_2\rightarrow CuCl_2
この反応によって、220kJの熱が発生します。

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CuCl_2 の写真)

熱化学方程式で書くと、こうなります。
Cu_{(固)} + Cl_{2(気)} = CuCl_{(固)} + 220kJ

 

燃焼熱

燃焼熱とは、物質(1mol)が完全燃焼するときに発生する熱です。

例えば、炭素の燃焼熱は冒頭で書いた通り、394kJです。
C+O_{2}\rightarrow CO_{2}
この反応によって、394kJの熱が発生します。

熱化学方程式で書くと、こうなります。
C_{(黒)} + O_{2(気)} =  CO_{2(気)} + 394kJ

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C の燃焼の写真)


中和熱

中和熱とは、酸と塩基が反応し、1molの水ができるときの反応熱のことです。

もう一度言います。「1molの水ができるときの熱量」です。
つまり、中和によって発生する水の物質量を基準としているのです。

例えば、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の中和熱は55.8kJです。
HCl+NaOH\rightarrow NaCl + H_{2}O
それは、このような反応式で表すことができますが、この時もし水が2mol発生していれば、発生した熱量は55.8 \times 2 = 116kJとなります。

熱化学方程式で書くと、次のようになります。
HClaq+NaOHaq = NaClaq + H_{2}O{(液)} + 55.8kJ

酸と塩基、そして右辺の塩の化学式のあとに、水溶液を表す「aq」を付けるのを忘れないでください。

 

溶解熱

物質が水に溶けるときにも、熱が発生します。
このように、物質1molが多量の溶媒に溶解するときに発生または吸収する熱のことを、溶解熱と言います。

例えば、水酸化ナトリウムが水に溶解するときには、44.5kJの熱が発生します。
NaCl_{(個)} + aq = NaOHaq + 44.5kJ



状態変化に伴う熱の出入り

いままでは、化学反応による熱の出入りを見てきました。今度は、状態変化(物理変化)によって熱がどのように出入りしているのかを紹介します。

おなじみの状態変化の図です。
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このように物質は、個体↔液体↔気体と状態変化をしますが、その間にも熱の出入りが起こっています。


状態変化によって発生(吸収)する熱は以下の3種類です。


・融解熱
・蒸発熱
・昇華熱

水の状態変化を例に説明していきます。


融解熱

物質1molが固体→液体になる時に吸収する熱量です。

水が固体から液体になるとき、約6.01kJの熱が吸収されます。
熱化学方程式では次のように表すことができます。
H_{2}O{(固)} = H_{2}O_{(気)} - 6.01kJ


蒸発熱

物質1molが液体→気体になる時に吸収する熱量です。

水が液体から気体になるとき、約44.0kJの熱が吸収されます。
熱化学方程式では次のように表すことができます。
H_{2}O{(液)} = H_{2}O_{(気)} - 44.0kJ

昇華熱

物質1molが固体→気体になる時に吸収する熱量です。

水が固体から気体になるとき、25.2kJの熱が吸収されます。
H_{2}O{(固)} = H_{2}O_{(気)} - 25.2kJ