とある科学の備忘録

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CやPythonのプログラミング、Arduino等を使った電子工作をメインに書いています。また、木製CNCやドローンの自作製作記も更新中です。たまに機械学習とかもやってます。

【シーケンス制御】電磁リレーを使って自己保持回路 ~データを記憶する~

1.自己保持回路とは?

前回、リレーを使ってLEDの点灯・点滅の制御を行いました。
shizenkarasuzon.hatenablog.com

ですが、前回の回路でLEDを点とさせ続けるには、スイッチを押し続けなければなりません。

そこで、一度スイッチが押されれば、その後スイッチから手を離してもLEDが点灯し続ける回路が考え出されました。それが「自己保持回路」です。


2.回路図

どうやってスイッチが押されたことを記憶するのでしょうか?

自己保持回路の最も基本的な回路が下のシーケンス図です。
f:id:pythonjacascript:20181215171558j:plain

ちなみに、この回路図は「シーケンス図」という特殊な書き方で書かれています。
「シーケンス図」についてはこちら↓
shizenkarasuzon.hatenablog.com


では、この回路の動作原理について説明します。

3.動作原理

上の回路の動作原理を説明します。

上の回路図のうち、左側は自己保持(スイッチが押されたことを記憶)する回路で、右側のランプ回路は自己保持されていることを確認する回路です。

この回路は、スイッチを押されるとランプが点灯して、スイッチから手を放してもランプは点灯し続ける、という動作をします。

その動作の上で、肝となる部分は回路図左側の自己保持部分ですので、そちらについて説明をします。


頭の中で、上の回路を実行してみてください。

➀スイッチを押したとき

まず、➀スイッチ「BS」を押してみましょう。すると、電磁リレーに電流が流れ、②電磁リレーがONになります。
そして、その電磁リレーのメイク接点である➀「R-m1」もONになります。
メイク接点とは、電磁リレーの接点の1つで、電磁石がONになるとメイク接点もONになります。

f:id:pythonjacascript:20181215172312j:plain

このとき、電磁リレーのもう一つのメイク接点である「R-m2」もONになり、ランプが点灯します。

以上が、あなたがスイッチ「BS」を押した瞬間に起きる出来事です。


②スイッチを離す

次に、スイッチ「BS」から手を放して、OFFにしてみます。

すると、「リレーに電流が流れなくなり電磁石がOFFになるのでは?」と思うかもしれませんが、ここで注目していただきたいのが「R-m1」です。

電磁石への電源の供給路はスイッチ「BS」以外に「R-m1」もあります。そして、現在「R-m1」はONの状態なので、下の図の青矢印の部分を電流が流れ、電磁石はONのままになるのです!

f:id:pythonjacascript:20181215172916j:plain


そうすると...あとはもうわかると思います。電磁石がONということは、メイク接点「R-m1」も「R-m2」もONのままということであり、「R-m2」がONということはランプ「L1」は点灯し続けるのです。

このようにして、自己保持回路はスイッチを離しても電流を流し続けるのです。

4.実験!

では、本当に↑の説明通りに動くのでしょうか?

それを、ブレッドボードを使って回路を組み、実験します。
この記事の一番上の画像を見ながら回路を組みました。

そして、完成した回路がこちらです。
f:id:pythonjacascript:20181215173249j:plain


尚、上の回路図で「ランプL1」と描かれた部分は、LEDに変更しています。

5.動かしてみる

では、実験スタートです。

まず、電源を入れただけでは何も起こりません。

そこで、スイッチを押してみると....
f:id:pythonjacascript:20181215173411j:plain:h300
LEDが点灯しました!


そして、ボタンスイッチから手を離しても....
f:id:pythonjacascript:20181215173459j:plain:h300
LEDは点灯したままです!

ということで、実験成功!!


このようにして、自己保持回路を実装することに成功しました。

最後までお読みいただきありがとうございます。