【シーケンス制御】電磁リレーについて
シーケンス制御でよく使用される「電磁リレー」ですが、どのようか構造なのでしょうか?
1.電磁リレーとは?
電磁リレーとは、このような外観の部品です。
名前の通り、電磁石がこの箱の中に入っています。そして、その電磁石をON/OFFすることで、磁力の力で接点を開閉できる部品です。
電磁リレーを使うことで、電気信号の伝達や保持(記憶)ができ、さらに他の電気回路の電源部分に電磁石を使うことで、その回路を電気的に好きなタイミングでON/OFFできるようになります。
この電磁リレーを使うことで、以下のようなことができます。
・簡単な論理回路を作成する。
・シーケンス制御を行う。
・大電流が流れる部分の電気回路の開閉を少ない電流定格のスイッチを使って行う。
2.電磁リレーの構造
電磁リレーは、以下のような構造をしています。
この構造で重要なのは、「電磁石」と「接点」です。
(1)電磁石
「電磁リレー」の要である電磁石です。電磁石とは、鉄心にコイルを巻き、通電することで磁力を発生させる磁石のことです。電流を止めると磁力は発生しなくなります。
この電磁石によって発生した磁力によって接点を開閉します。つまり、電磁石に電流を流した時だけ接点はON(またはOFF)になるのです。
(2)接点
「接点」というのは、スイッチと思ってください。ただし、電磁石の磁力によってON/OFFされるスイッチです。
そして、この接点には「メイク接点(a接点)」と「ブレイク接点(b接点)」の2種類があります。この2つの接点は、電磁石がON(またはOFF)になったときの動作が違います。詳しくは次の「電磁リレーの動作原理」で説明します。
電磁リレーの構造
上の方で、電磁石は「電磁リレーをON/OFFすることで接点を開閉する装置」と書きました。その動作原理について説明します。
(1)電磁石がOFFのとき
まず、電磁石に何も電流を流していない時、電磁リレーの内部は次のような状態です。
このとき、
左側の接点→OFF
右側の接点→ON
になっています。
電磁石はOFFなので、真ん中のスイッチはバネの張力によって右側の接点に押し付けられます。
そのため、右側の接点はON(真ん中の端子とつながっている)ですが、左側の端子はOFF(真ん中の端子とつながっていない)という状態になります。
(2)電磁石がONのとき
では、ここで電磁石に電流を流してみます。
このように、電磁石につながっている2本の端子に電流を流すことで、電磁石をONにすることができます。
このとき、
左側の接点→ON
右側の接点→OFF
になっています。
電磁石はONになったので、磁力の力で接点(スイッチ)は電磁石側に引き寄せられます。すると、スイッチは右側の接点は接触しなくなり、代わりに左側の接点に押し付けられます。そのため、右側の接点はOFF(真ん中の端子とつながっていない)、左側の端子はON(真ん中の端子とつながっている)という状態になります。
(1)(2)をまとめると、このようになります。
接点の名前 | 電磁石ONのとき | 電磁石OFFのとき |
メイク接点 | ON | OFF |
ブレイク接点 | OFF | ON |
「メイク接点」とは上図の左側の接点で、「ブレイク接点」とは上図の右側の接点です。
このようにして、電磁石は接点を電気的にON/OFFすることができます。
そして、接点側の回路と電磁石側の回路は電気的に接続されていません。情報を伝えているのは磁力のみです。そのため、電磁石側では直流電源を使用し、接点側の電気回路は交流電源を使用する、ということもできます。